理学療法士Kのブログ

博士課程所属の大学院生兼理学療法士が日々の学びや趣味について語るブログです。理学療法の研究やツール、理学療法関連の書籍についての紹介等を行っています。

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研究テーマの考え方-クリニカルクエスチョンとリサーチクエスチョン-

3月も終わり,4月になると,学会の演題登録シーズンがやってきます。毎年色々な学会に多くの演題がエントリーされますが,学会発表の前に,そもそも研究なんてやったことがないという人も多いと思います。

 

研究を行ううえで,最初の大きな壁となるのが研究テーマ決めです。まずここでつまずく人が多いです。僕は今,大学院生ですので,学部生の卒業論文のお手伝いをする機会があります。彼らもまず研究テーマについて非常に悩んでいます。ただ,大学の場合は所属している研究室の長である教授に研究テーマがありますので,最終的には教授をはじめとした研究室スタッフが予備研究として卒論のテーマを学部生に与えることもあります。しかしながら,医療・介護施設に勤務している方は研究テーマを決めるのに難渋することも多いのではないでしょうか。

 

そもそも研究とは,ある疑問を解決または証明するために様々な手法を用いて行うことですので,テーマを決めるためにはまず,自分がどのような疑問を解決したいのかを考えるのがそのスタートになります。

理学療法の分野では疑問を,クリニカルクエスチョンリサーチクエスチョンとして扱っています。

 

クリニカルクエスチョン

クリニカルクエスチョンとは,臨床的疑問のことで,文字通り,臨床において起こる疑問です。例えばですが『変形性膝関節症患者に対して,物理療法と運動療法のどちらが除痛効果があるか?』みたいな感じです。

ちなみにこのような疑問のまとめ方をPICOまたはPECOと呼びます。

 

PICO

PICOとは上記のような疑問をわかりやすく構造化する方法です。

Patient(患者), Participant(参加者), Problem(問題)

Intervention(介入), Exposure(暴露)

Comparison(比較対照)

Outcome(転帰,結果)

上記①〜④の頭文字をとってPICOまたはPECOと呼ばれます。

 

それぞれを簡単に説明すると,以下のようになります。

①どのような対象者に

②どのような介入を行うと

③何と比較して

④どのような結果が得られるか?

 

このように疑問を構造化してわかりやすくまとめることがクリニカルクエスチョンを考える第一歩だとされています。

 

リサーチクエスチョン

リサーチクエスチョンとは,研究的疑問のことです。クリニカルクエスチョンに対して,先行研究やレビューを調査し,分かっている事,分かっていない事を整理したうえで,臨床的意義がありかつ実現可能なものをリサーチクエスチョンと言います。

例えば,『変形性膝関節症患者に対して,物理療法と運動療法のどちらが除痛効果があるか?』というクリニカルクエスチョンに対して,リサーチクエスチョンを考えます(ちなみに以下の話は例え話なので,内容は適当ですのでご理解ください)。

  • 変形性膝関節症患者の疼痛に対する物理療法として,TENSの効果的であることがが先行研究で報告されている。
  • 変形性膝関節症患者の疼痛に対する運動療法として,大腿四頭筋トレーニングの効果的であることがが先行研究で報告されている。
  • 変形性膝関節症の先行研究を見ると介入期間が2週間である研究が多い。
  • 疼痛の評価として,VASが信頼性の高い評価として報告されている。
  • 変形性膝関節症患者の除痛効果についての研究は臨床的意義があると思われる。

上記5つの情報を基にリサーチクエスチョンと検討すると,『変形性膝関節症患者に対して,2週間,TENSと大腿四頭筋トレーニングによる介入を行った時に,どちらがよりVASを軽減させることができるか?』というより具体的な疑問を作ることができます。

 

このように臨床的な疑問から研究を行うことを視野に入れてより具体的かつ検証可能な疑問としてブラッシュアップしたものがリサーチクエスチョンとなります。このリサーチクエスチョンはまさに研究テーマといっていいものだと思います。

 

まとめ

研究テーマを決める際は,まず日常の疑問からクリニカルクエスチョンをまとめて,そこから先行研究を調査してリサーチクエスチョンへ発展させることが分かりやすい方法だと思います。最初は大変かもしれませんが,慣れてくると,常に色々なことに対して疑問をもつ習慣がついてきます。そうなれば研究テーマを決めるのも難しいものではなくなるのではないでしょうか。

研究テーマを決めた次は研究計画を立てていきます。研究計画の立て方についてはまた別の記事でお話しできたらと思います。

 

 

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