理学療法士Kのブログ

博士課程所属の大学院生兼理学療法士が日々の学びや趣味について語るブログです。理学療法の研究やツール、理学療法関連の書籍についての紹介等を行っています。

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大腿直筋が股関節外旋筋であることについての考察

先日,大腿直筋反回頭について記事にしましたが,その際に,大腿直筋に股関節外旋作用がある理由について記載できませんでした。

www.physicaltherapist-k.com

 

今回,その件についてある程度考察しましたのでまとめたいと思います。

 

筋の走行から見る股関節外旋作用

筋が股関節外旋作用を有する筋とは,身体を正面から見た(前額面上での)股関節軸を内側から外側(またはその逆)に走行しかつ,股関節の後方を走行する筋です。したがって,いわゆる外旋6筋が該当します。

 

大腿直筋はそもそも股関節の前面を走行しますので,一見股関節外旋作用は持たないように見えます。しかし,下図を見て頂くとわかる通り,大腿直筋の骨盤から脛骨粗面への走行はわずかに内向きに走行しています。このわずかな内向きへの走行が大腿直筋が股関節外旋作用を有するポイントになります。

 

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下肢の場合を例に走行から考えると,停止部(脛骨粗面)を固定した状態で筋収縮を起こすと,起始部である下前腸骨棘は,下内側へ引っ張られることになります。すなわち,骨盤は右股関節を軸に前傾,右(前方)回旋することになります。この動きを股関節ベースで考えると,相対的に,右股関節屈曲,外旋することになります。

また同様に,下前腸骨棘は股関節軸より外側に位置することから,上記の条件であれば,骨盤は右大腿直筋の収縮により,右側屈します。したがって相対的に右股関節外転します。

 

上記が,大腿直筋が股関節外旋作用を有する理由の考察になります。しかしながら,大腿直筋の内向きの走行といってもわずかなものなので,おそらく股関節外旋作用はわずかなものになると思われます。実際,教科書に記載されているデータを見ても,大腿直筋の股関節外旋モーメントアーム(大腿直筋の作用線と股関節中心との距離)は,股関節屈曲と比較するとほんのわずかでした。

 

起始と停止から考えると,股関節内転すれば,大腿直筋の内向きの角度が大きくなりますので,この股関節外旋作用を強調するためには,股関節内転位をとればよいとも考えられます。もちろん,あえて大腿直筋で股関節外旋を行う理由は思いつかないので,臨床的にはあまり意味のない情報かもしれませんが,筋の作用を強調するために,起始・停止の位置関係を考えるのは必要なことであると思います。

 

まとめ

このように,解剖学的に筋の作用を考えると,一見関係のなさそうな筋と関節運動に隠れた作用があることが分かります。教科書に載っていることだけが筋の作用の全てではないと思いますので,発想の飛躍にならない範囲で学んでいきたいと思います。

 

 

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