こんばんは。理学療法士Kです。
理学療法士を含め、回復期リハビリテーション病棟に勤務している方で、おそらくFIMを知らない方はいないでしょう。
FIMとは『機能的自立度評価法 (Functional Independence Measure) 』のことで、『しているADL(日常生活活動)』を評価する方法です。
FIMについて簡単に説明すると、運動項目13項目、認知項目5項目、計18項目をそれぞれ1〜7点で点数を付ける評価法です。
各項目に関しては、多くのサイトに記載されておりますのでご参照ください。
なぜ、回復期リハ病棟のスタッフで知らない方がいないかと言うと、FIMは、『回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価に関わる計算式』に用いられるからです。
(参考)日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要 - 厚生労働省
『(参考)日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要 - 厚生労働省』より引用
この式のように、FIMの運動項目が実績指数の計算に必要となります。
平成30年度に行われた診療報酬改定においても、回復期リハビリテーション入院料を算定するのに実績指数が求められます。
ちなみに
入院料1:実績指数37点
入院料3、5:実績指数30点
となります。
ところでFIM、ちゃんと採点できますか?
FIMの採点基準を見ると、めちゃくちゃアバウトなことが記載されています。
これだけで採点するのはかなりシビアと言うかほぼ不可能でしょう。まあ、百歩譲って7〜5点はなんとかなるとしても、4点以下は無理です。
PT、OT、STといったFIMをきちんと学んできたであろうリハビリ専門職ですらだいぶ怪しいのに、看護師や介護士に正確に採点しろと言う方が無茶というものです。
このような状況が続くと、国からFIMの正確性についての疑義が起きて、せっかくリハビリ関連の評価が診療報酬に反映される制度ができたのに、またそれが潰されかねません。(実際、FIMの信頼性についての疑義が挙がったところもあったと聞いています)
ではきちんと採点するためには、どうすればよいでしょうか?
FIMはもともと、慶応義塾大学が日本語版作成から関わってきており、研修会なども行なっているようです。そこから指導を受けた方達が、全国各地で研修会を行なっています。
FIM 機能的自立度評価法 | 慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室
ですが、必ずしも全員が研修会に参加している訳ではありませんし、急に出来る訳でもありません。
そんな時にこの本を手にとって見てください
そこで今回紹介させていただく本が『脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編]』です。
前置きがずいぶん長くなってしまい大変申し訳ありません。
この本は、SIASはとりあえず置いておいて…FIMについてかなり詳細な採点方法が記載されています。
採点基準だけでなく、実践する際にどのような部分を評価するのかを採点例をしっかり紹介した上で、この本を読みながらであれば誰でもある程度採点できるように作られています。
著者の千野直一先生は、慶応大学の名誉教授であり、FIMの発展にも寄与されてきた方のようなので、内容の信ぴょう性に関しては問題ないと思います。
以前見させていただいた、実際に行われているFIMの研修会の資料は、この本の内容とほぼ同じでした。
FIMを正確に採点しなければいけない回復期リハ病棟にこの本はぜひ1冊置いておいてほしいと思います。
サイズもコンパクトで持ち歩きにも不自由しないと思いますので、ご購入を検討されればと思います。
![脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編] (実践リハビリテーション・シリーズ) 脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編] (実践リハビリテーション・シリーズ)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41ayQDi0GjL._SL160_.jpg)
脳卒中の機能評価―SIASとFIM[基礎編] (実践リハビリテーション・シリーズ)
- 作者: 千野直一,椿原彰夫,園田茂,道免和久,高橋秀寿
- 出版社/メーカー: 金原出版
- 発売日: 2012/12/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (1件) を見る